36-01 こんなに多彩な一戸建ての間取プラン~パート1~

【 求める“生活の形”で間取プランを選ぼう】
一戸建ての最大の特徴は、間取りプランをつくる際に自由度が高い点にある。マンションでは各住戸にバリエーションを持たせようとしても、上下階との関係があるので玄関や水まわり、バルコニーの位置が固定されるなどおのずと限界がある。その点、一戸建てでは1戸1戸が独立しているのでまったく異なるテーマを持ったプランニングが可能だ。
建て方も在来工法や2×4工法、プレハブ工法などさまざま。そのプランにふさわしいものを採用できる選択肢がある。そのためひとつの団地で50戸分譲されれば50通りのプランが品ぞろえされているケースが少なくない。
自分たちが求める生活の形(キザにいうと幸福の形)を想い描きながら、住まいの形(間取りプラン)を選びたい。結局のところ各人の好みということになるので、ここに掲げたプランがだれにとっても優れているとはいえないが、どの点に着目するかといったくらいのヒントにはなるだろう。
<A>子供たちがのびのび育つプラン
図A はハウスメーカーが開発したプラン。個室の独立性よりも家族が共有できるパブリックスペースに重点を置いた間取りである。特色が最も表れているのが2階のファミリールーム。「1階にリビングルームがあるのに、どうしてわざわざ2階まで同じものを―」という疑問を持つ人がいるかもしれないが、使い方はいろいろだ。
カナダのバンクーバー郊外のお宅を訪問した折に、類似したプランを見たことがある。その家庭には小学生くらいの男兄弟が3人がいたが、みんな快活で弾むような笑みがこぼれていた。ファミリールームの天井にトップライトが設けられていて、日がそそぐ下にサンドバッグがゆらゆら。リトルリーグの野球ユニホームを着た友だちもやって来て父親のしぐさをまねてビシバシ。そのあとに始まったのがファミコンゲームだった(子供たちの遊び方は世界共通のようだ)。
このスペースの性格づけを家主に聞いたら“キッズ・デン(Kid’s Den)”という答え。「子供たちの共有空間(城)」という意味だろう。兄と弟というようにそれぞれ年齢が違う友だちが一緒に遊ぶ。そこへ大人たちが自然に参加する。子供たちの異年齢集団による遊びの減少、親と子の隔絶がいわれる現代にあっては、ありそうでなさそうな風景だが、こうした空間のもとでは当たり前のように感じられるところが、間取りプランの妙といえるだろう。
この間取りでもうひとつ付け加えると、1階部分のリビング・ダイニングと和室の間仕切りを取り払えば、20畳以上の広い空間になるので、大勢のお客さんを招いてホームパーティーが催せる。人と人との交流を重視したコミュニティープランといえるだろう。
<B>子育てママが安心できるプラン
赤ちゃんは母親の胎内にいるときから、お母さんの話し声や心臓の鼓動を感じているといわれる。生まれたばかりでお乳を飲むとき以外はほとんど眠っているが、だんだんと規則的に目を覚ますようになり、泣き叫んだり、手足をむずむず動かしたり。親たちがそれに応えることで泣き方や表情の使い分けを学習していく。1歳を過ぎて歩けるようになり、2歳前後でもう走り始め、少し進むと三輪車に乗ったりすべり台を使って遊ぶことができるようになる。
このくらいになるとお母さんにピッタリくっついていた幼児も、次第に離れて過ごすようになる。それでも母親の姿が見えなかったり視線を感じなくなると不安でいっぱい。突然、駆け寄って来て泣き出したりする。
これが乳児から幼児にかけての子供の行動パターンだが、だからといっていつもお母さんがそばについているというわけにはいかない。食事の用意やあと片付け、掃除や洗濯などで家中を動きまわっていなければならない。そこで昼間はお母さんの生活の中心になる台所や食事の近くで、日当たりの良いコーナーを選んで乳児スペースにするのが自然だろう。いつもお母さんの気配があるし、お母さんの目も行き届く。そんなとき図Bのように、ダイニングからちょっと張り出したコーナー(ホビールーム)があると便利だ。
ハイハイをしたり立ち上がるようになり、少しずつ行儀の基本を覚えるようになったら、ホビールームにカーペットを敷いて簡単に出し入れできるおもちゃ箱を置くというのもいい。そこでは安心して散らかすこともでき、夢中になって遊んだあとは自分のものを一定の場所に仕舞うことを覚えていくきっかけになるだろう。
<CD>主婦が楽しく暮らせるプラン
図Cはキッチン、ユーティリティー(洗濯室)、洗面室、浴室などの水まわり関係を直線で結んだところが特色。ユーティリティーの勝手口から生ゴミを出しに行くにも便利だ。スムーズな家事動線に加えて台所と食堂は対面キッチンでつながっているので、会話をしながら食事の支度やあと片付けができる。
ダイニングとリビングは独立していたほうが、不意の来客があったときなどに食事後の乱雑さを見られなくてすむ、という場合は図Dも悪くないだろう。
<EF>オヤジの居場所があるプラン
オヤジの復権に対する意見はよく耳にするが、間取りプランは相変わらず主婦と子供が主要なターゲットのなっている。モデルルームの営業マンのなかには「ひとり(父親)が犠牲になれば家族みんなが幸せ」とぬけぬけと言うのが現れる始末。オヤジたちは毎日忙しく働いているから、多額のローンを借りて買った家なのに実際にいる時間はとても少ない。長時間通勤で疲れているから家に帰っても風呂に入って布団にゴロリ。だからといって特別に居場所がなくてもよいという理屈にはならないだろう。
子供に個室があるのに、なぜオヤジには専用のコーナーさえないのか。
少なくても図E(図Cの2階部分)や図Fぐらいの空間は欲しい。よく見かけるものでは一応ネーミングはそうなっているが、2畳程度の広さで収納スペースにするかどうか迷った末に、とりあえず書斎コーナーとしておこうかというケースが少なくない。
この2つは完全独立型ではないが、出入り口がコーナー脇になっているので、オープンな空間にしてもいいし、書棚などで仕切ってある程度独立性を持たせることもできるという柔軟性が特色だ。







































