23 住宅性能表示の見方・読み方
【すべての住宅に共通する性能基準】
住宅性能表示基準の各項目は、性能を比較しやすいように等級付けされたり、具体的な数値などで表示される。耐震性能なら等級1~3まで、高齢者などへの配慮対策では等級1~5までとなっている。等級の数字は大きいほど性能が高い。
住宅の建て方には伝統的な在来工法をはじめ、2×4(ツー・バイ・フォー)工法、プレハブ工法があり、さらに木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造などさまざまだが、性能基準ではどの工法でも同じ等級ならほぼ同じ水準の性能になるように設定されている。
住宅性能評価の表示項目は、以下に述べるように分類できる。各表示項目がどのような性能を意味しているのかを理解して、住まい選びに役立てよう。
1.各表示項目の意味を知ろう
[1]構造の安全
地震や風、積雪に対する「強さ」を表示。耐震等級1は関東大震災級の震度6強から7程度の地震に対しても倒壊、崩壊しない程度を示す。耐風等級1は伊勢湾台風時に記録された最大風速50mに対して倒壊、損傷しない程度だ。それぞれの等級が高くなればそれ以上の強度が期待できるということである。
また、地盤の強度や基礎工事の杭の長さ、太さなどは具体的な数値で表示される。杭は長くて太いほうが頑丈そうだが、一概に即断できないところが、基礎を評価する際の難しい点だ。
良質な硬い地盤であれば基礎工事はそれほど強固にする必要はないが、地盤が軟弱であればそれを補強するために基礎工事を念入りに行う必要がある。したがって、地盤の硬軟と基礎工事の内容とを総合的に判断しなければ本来の強度が判定できないということだ。
マンションのように重い建物を建てるときには、硬い地盤がある支持層まで杭を打ち込んで安定させる必要がある。支持層までの深さは地表から浅い位置にあるほど地盤が良いといえる。対して軟弱地盤では支持層が深く、それだけ杭は長くなり、強度を確保するために杭の本数を増やしたり太くする必要があるのだ。
ちなみに建設会社がマンション工事の概算見積もりを作成する際に、目安としている支持層の深さは20m程度といわれている。
とにかく地盤と基礎工事の数値を見るときには早合点せずに、専門家や分譲会社の担当者の説明をよく聴いて判断するようにしよう。
[2]火災時の安全
火災発生時に人命や財産を守るために、どれだけの性能があるのかを表示。壁や床の耐火時間、火災感知警報装置の設置状況などを評価している。
[3]劣化の軽減
建物の耐久性を表す。柱、梁、壁などの構造躯体について、大規模な修繕工事が必要となる期間をどのくらい長くできるように対策がとられているかを評価している。
[4]維持管理への配慮
給排水管、ガス管の清掃、点検、補修が行いやすいようにする対策に、どれだけ配慮しているかを評価している。
[5]温熱環境
冷暖房を行う際に消費するエネルギーの量を、どのくらい削除できるようにつくられているかを、断熱材やサッシの断熱性能評価している。
[6]空気環境
化学物質による健康への影響や、室内の空気の汚れが出にくくするように、どのような対策がとられているかを表す。内装材に使用している合板、パネル、複合フローリングなどのホルムアルデヒド放散量のほか、住宅全体と台所・トイレなどの換気システムを評価している。
[7]光・視環境
日当たりや採光、見晴らしの良さを表す。床面積に対する窓などの割合と方角別の比率を数値で表示している。比率が高ければそれだけ開口部が広く、方位も北側よりも南側の開口部のの比率が高いほうが日当たりや採光、さらに通風の面でも優れているといえる。ただ、開口部は広くとられているが、すぐそばに建物が建っていて日陰になってしまうのでは、せっかく広くとった開口部が十分に生かされない。周辺の状況をしっかり把握しておくようにしよう。
[8]高齢者等への配慮
住戸内の段差の解消や手すりの設置などバリアフリー対策にどれだけ配慮されているかを評価し、表示している。
[9]音環境
サッシの種類によって戸外からの騒音をどれだけ遮ることができるか。マンションでは上下階で発生する跳びはねる音、隣住戸の話し声などに対して床や壁がどのくらいの遮音性能があるかを評価し、表示している。
[10]防犯
2006年4月から評価項目に「開口部の侵入防止対策」が新規に追加された。
侵入経路となる住戸の出入り口、1階部分の窓、バルコニーなどに面した窓、トップライトなどの開口部を、外部からの接近のしやすさに応じてグループ化し、使用されているドア、窓ガラス、シャッター(または雨戸)、錠前などの建物部品が、その箇所にふさわしい侵入防止性能を有しているかどうかを評価する。
建物部品については実際の侵入犯罪手口に対して5分間の抵抗性能を有することを目標にした性能試験に合格したものを公表。防犯建物部品の普及を推進する。
2.必要な性能に優先順位を付ける
各評価項目の性能レベルを見るときに気をつけなければならないのは、自分たちにとってどの住宅性能が必要かを認識することが大切である。すべての性能が高いということと快適さとは必ずしも連動しない面があるからだ。まだ、建築コストとの兼ね合いもあるだろう。
たとえば閑静な住宅地にある住まいの場合、建築コストをかけて遮音性を最高レベルまで高める必要はあるだろうか、ということである。
各評価項目の矛盾する場合もある。採光を多くとるためには開口部を広くとる必要があるが、開口部が広ければそれだけ室内は外の温度の影響を受けやすくなり、冷暖房の消費エネルギーの効率が低下してしまうことがあるだろう。
構造躯体を堅固につくろうとすると柱や梁が太くなり、室内のあちこちに柱型や梁型が出っ張ったり、部屋割が小さくなってしまうこともある。
自分たちのライフスタイルをよく見直し、望んでいる生活空間や生活環境とは何かを把握して、どの性能を優先させるかを考えてみる必要があるだろう。
マンションの遮音性能については、112ページで詳しく述べているので参考にしていただきたい。
3.なぜ階高の表示が欠落しているのか
住宅性能表示制度について、ひとつ腑に落ちない点がある。
冒頭でも述べたが、日本にはさまざまな形式の住宅があるにもかかわらず、住宅として最低限求められる基本的な性能を、統一化して共通の評価基準としてまとめたというのは、大変な作業ではなかったかと、まずは携わった方々に敬意を表したい。
ただ、マンションの居住性や将来のリフォームなどの柔軟性を確保するうえで、重要な要素がこの性能表示制度からひとつ抜け落ちているのが残念だ。それは「階高」である。階高とは1階当たりの高さのことである。天井の高さと間違えそうだが、それとは違う。天井の高さは床の表面仕上げから天井の表面仕上げまでをいうが、階高は下のコンクリート床(スラブ)から上のコンクリート・スラブまでだ。
この階高が高くつくってあれば、たとえば床を二重構造にし、天井も二重構造にするというように、内装次第で床から天井までの高さを変えることが可能だ。したがって床の構造を変えて遮音性能をアップさせたり、配管も楽になるので浴室や台所の位置を変えることも可能である。天井を折り上げるなど装飾をほどこしてダウンライトやシャンデリアを設置しても、圧迫感はない。天袋などの収納スペースもたっぷりとれる。さらに高くとってあれば中2階や小屋裏のような空間をつくることができ、変化のあるインテリアを楽しむことができる。逆に低いと、造作を変えようとしても圧迫感を感じてしまう。ところが、モデルルームや販売パンフレットには「天井高」が表示してあるケースはあるが、「階高」の表示はほとんど見ない。分厚い図面を確認するよりない。
性能表示制度では等級でランク付けしなくてもよいから、数値での表示だけでも義務づけてほしかった。わたしが考える標準は、中間階住戸の階高で少なくとも3m以上である。専有面積など平面的な広さも必要だが、これからのマンション選びでは「階高」も加えて、立体的な空間の広がりを重要視してもらいたい。







































